拉麺BLUES 関西のラーメン食べ歩き | |||||
6月22日よりテアトル梅田で公開され映画 「ラーメンよりも大切なもの」 ラーメンの神様、山岸一雄氏を撮り続けたドキュメント映画。 テレビで放映されたドキュメンタリー番組を編集し映画化した。 わざわざ映画館で観ることもないなと観る前は思っていたが、そうではなかった。 東池袋大勝軒に行ったことのない私でも、大画面で見る映像はまるでその場にいるような臨場感を感じる。 常に行列のできる東池袋大勝軒。 店主は弟子たちからマスターと呼ばれる山岸一雄氏。 そのマスターはさぞかし資産をためているだろうと想像していたがそうではなかった。 2007年(平成19年)の再開発計画により東池袋大勝軒は閉店し、そのあとにはマンションが建った。 山岸氏はそのマンションに住むことになるのだがそのマンションは弟子たちが資金を出して購入した。 山岸氏には資産はそれほど残っていない。 その理由は映画を見ていてよく分かる。 山岸氏を訪ねてくる弟子は3か月ほどで巣立っていき各々独立していく。 わずか4日間の修行で独立する者もいる。 そんな巣立っていく弟子に山岸氏はお祝い金を手渡す男気がある。 金をとって教えることはなくむしろ祝い金を渡すほどで、独立した店名に「大勝軒」という屋号を使ってもロイヤリティーさえ取らない。 それが各地に大勝軒が広がっていく理由である。 山岸氏は決して敏腕経営者ではない。 むしろ経営者としては失格かもしれない。 客に出す麺の量も半端ではない。 どんぶりあふれるつけ麺の量。 具材も多く盛り付けている。 それでいて値段は決して高くはない。 これじゃあ儲からないと弟子で多くの店を経営する田代こうじ氏は語る。 文字通りどんぶり勘定である。 それが客から愛された理由でもあるが。 多くののれん分け店を輩出した大勝軒だが、その味は千差万別で師匠の味に忠実な店は実はないかもしれない。 なぜなら、弟子たちが仕込んだスープを必ず最後に山岸氏が調整を加えていたからで、これは誰にも教えなかった。 山岸氏が足の持病で長期入院した時には弟子たちは途方に暮れた。 マスターがいないと店の味が出せない。 試行錯誤してスープを作るものの客がどんどん離れていく。 あの行列店が、山岸氏が入院するとまたたくまに閑古鳥が鳴くようになった。 誰一人として山岸氏の味を作り上げることが出来ないのである。 2007年(平成19年)の再開発計画で閉店を余儀なくされた東池袋大勝軒。 最後の営業日は空前の行列。 マスコミ報道もすごかった。 朝から上空をヘリが飛び交っている。 いかに東池袋大勝軒を愛したファンが多かったことか。 そういう山岸氏の作ったラーメンを味わうことのなかった私はこの映画を見て一度でもいいから食べたかったと思わざるを得なかった。 まさしくラーメンの神様と呼ぶにふさわしい人物である。
by oretokumou
| 2013-07-05 07:14
| 映画
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